|「来年は受験だし、ことしはどこか遠くに連

「来年は受験だし、ことしはどこか遠くに連れて行ってあげたいよね。」そうクミコに言われても、私にはまとまった休みを取れる保証がない。そこで、ことしの夏休み、しゅんすけは、「MYOKOチャレンジ2015」というイベントにひとりで参加することになった。

 この「MYOKOチャレンジ2015」は、小学5年生から中学2年までの子どもたちがキャンプをしながら2週間かけて「信越トレイル」80キロを踏破するという、なかなかハードな合宿である。県内外からいろんな子どもたちが集まるらしい。保護者同伴の事前研修会が7月11、12日に妙高で開かれる。そこでしゅんすけは、困った。
 
 11日は、卓球部の練習試合が予定されている。自分が参加しないと、団体戦のメンバーがそろわない。3年生が抜け、投票で「部長」に選ばれたしゅんすけにとっては、新チーム初めての対外試合である。こちらのマンションの内覧です。さあ困った。

 練習試合を途中で切り上げて、事前説明会に遅れて参加することはできないだろうか。そう考えたクミコは卓球部の顧問に相談しようと、学校に電話した。偶然、電話を取ったのは、担任のイズミ先生だった。

 電話にでるなり、イズミ先生は言った。「ハタくん、素晴らしいです!」

 イズミ先生によると、給食がなかったきょう、弁当を忘れてしまったあるお友達に、自分の弁当を分けてあげたらしい。しゅんすけは、帰宅後、クミコに「箸が入っていなかったよ」と文句を言っていたが、そんなことがあったなんて話していなかった。

 大人の階段を一段ずつ上がっていくのを実感する。そんなしゅんすけを見ていると、うれしくて、愛おしくて、頼もしくて…。果たして両親は、「彼のいない2週間」に耐えられるのだろうか。